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毒ガス13

Sophia(6)

 開いた掌に突進を阻まれ、二体の怪獣は自分の突進の勢いで背後に跳ね返された。後ずさるその姿は、呆然としてよろめいているかのようだ。
「もういい。失せろ! 雑魚ども!」
 裂帛の気合と共に、ソフィアは胸前で両手を構える。向かい合わせた両掌の間に落雷のような閃光が走る。エリアスが息を飲むほどのエネルギーが、空間の一点に凝縮されていった。

Sophia(7)

……パイロットは風防を真白に染める閃光に、慌てて両手で目を抑えた。第二の巨人が両腕を左右にまっすぐ伸ばした瞬間、眼下に広がる地上の全てが光に飲み込まれたのだ。まるで地上で巨大なフラッシュが焚かれたかのようだ。
 巨人の両腕から伸びた巨大な光の束が、二体の怪獣の胴体を同時に易々と貫通する光景が、彼の眼底に残像となって焼き付いていた。
「す、凄い……」

Sophia(8)

 落雷を思わせる轟音と共に、怪獣達は瞬時に消滅した。ソフィアが無造作に放ったエネルギーが、二体を同時に焼き尽くしたのだった。灰さえもが燃え上がり、光の粒子となって地上に降り注ぐ。
 衝撃に苦痛さえ忘れていたエリアスは、全身の浮遊感に我に返った。ソフィアが両腕で彼女の巨体を軽々と抱え上げている。
「た、隊長……」
「今はしばらく休んでいるがいい。お前には、次の戦いが待っているのだからな」
 怪獣に対峙した時とは違い、驚くほど優しい声だった。エリアスは静かに両目を閉じた。尽きることなく降り注ぐ光の粒子の中に、戦いを終えた二人のウルトラレディはゆっくりと消えていった。

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毒ガス12

Sophia(3)

「た、隊長……」
 エリアスは横たわったまま呻いた。霞んだ視界には毒煙渦巻くばかりで、ソフィアの姿を見ることすらできない。あの猛毒の中では、宇宙警備隊隊長といえどもひとたまりもない……。
「毒ガスか。しかし、そんなものは私には通じんぞ」
 濛々たる毒煙に、不意に割れ目が生じた。胸前に両腕を組んだソフィアを中心に、不可視の壁が毒ガスの雲を押し返してゆく。ソフィアが展開したバリアは直径を更に広げ、街に充満する毒ガスを容易く分解してしまった。

Sophia(4)

 二体の怪獣は更に猛る。言葉もなく示し合わせたように、ソフィアに向かって突進した。体ごと伸し掛って銀の巨体を押し潰そうと、巨大な怪獣が左右から迫る。

Sophia(4)

「ふん、体当たりか。さっきの毒ガスよりはましか……」
 ソフィアは呟くと、無造作に両腕を左右に開く。次の瞬間、轟音と共に殺到する怪獣二体の重量を、開いた掌があっさりと受け止めた。合計すれば百万トンを優に超える重量が左右から巨体を押しひしぐが、ウルトラレディの巨体は両腕をまっすぐに伸ばしたまま微動だになかった。

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毒ガス11

Sophia(0)

 永遠とも思える時間の後、遂にウルトラレディの体から二本の管がずるずると引き抜かれていった。銀の巨体は大の字に怪獣達に囚われたまま、もうピクリとも動かない。四本の鋏は、ウルトラレディの体を無造作に地面に落とした。
 アスファルトや街灯が砕ける轟音と共に、エリアスの巨体が瓦礫を押し潰しながら地面に落下した。横たわったまま動かない銀色の体は立ち昇る粉塵にまみれ、両脚の間に飛び散った毒液が灼けて黒ずんだ肌から白い煙を上げている。
(もう……駄目……。指一本も動かせない……。私、このまま、負けて……)
 意識が遠くなる。微かに開いままの瞼の間から、胸のカラータイマーが消えかかる蝋燭のように赤く揺らめいてるのが見える。その向こうから、怪獣が止めを刺そうと近づいてくる。
(やら……れる……)

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毒ガス10

VsBugZ(Gas)24

 どくん、とエリアスの下半身に潜り込んだ管が膨れ上がった。次の瞬間、びゅうっと先端から毒液ほとばしる。強力な腐食性の液体がウルトラレディの体内組織を分解してゆく。
 ウルトラレディは凄まじい激痛に下半身をよじった。だが怪獣は鋏でのたうつ両脚に鋏を食い込ませて抑えつけると、2つ目、3つ目の膨らみを体内に送り込んでいった。

VsBugZ(Gas)25

……ビルの遙か上を飛び、ヘリはようやく戦場に辿り着こうとしていた。風防の外では有毒な雲が次第に濃くなって視界を塞いでゆく。その雲を透かして、パイロットは眼下に巨人と巨大な怪獣達の姿を捉えた。
「クソッ! なんてこった!!」
 戦いは既に終わっているようだった。銀色の巨人は空中で怪獣達に捕らわれ、完全に自由を奪われている。銀色の滑らかな皮膚に、深々と鋏が食い込んでいるのが痛々しい。
 毒ガスと毒液を体内に流し込まれる巨人は、必死に逃れようと巨体をのたうたせていた。しかし、怪獣達は鋏で無理やり巨人を元の姿勢に引き戻し、さらに勢い良く毒ガスと毒液を流しこんでいる。もがいても抜け出せない銀色の巨人の姿は、蜘蛛の巣に囚われた蝶を彼に連想させた。
 パイロットが半ば呆然と見下ろしている内にも、次第に巨人のもがく動きが鈍くなっていくのが分かった。きつく両眼を閉じて苦悶にうち振っていた頭が、次第に空に喉を見せて仰け反ってゆく。巨人の動きと同調するように、胸のクリスタルの赤い点滅が次第に緩慢になってきていた。
(今、助けるぞ!)
 パイロットは操縦桿に掛けた手に力を込めると、通信機を手にとった。
「司令部、目標地点に到着しました。これより攻撃を開始します!」
 スピーカーからノイズでざらついた声が彼に答えた。
「駄目だ! 有毒ガスの濃度が高すぎる。これ以上の接近は危険だ。許可できん! すぐに退避するんだ」
 パイロットは眼下から目を離し、風防の外を見渡した。怪獣が吹き出すガスが地上から絶え間なく立ち上り、いつの間にか壁のように周囲を覆っている。彼は慌ててヘリの高度を上げた。これでは確かに近づけない。
「ちくしょう! 黙って見ていることしかできないなんて!」

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毒ガス9

VsBugZ(Gas)22

「は、放してっ!」
 逆さ吊りの姿勢から身を起こそうとするエリアスの両腕を、再び怪獣の鋏が掴んだ。そのままクレーンのようにウルトラレディの上半を持ち上げてゆく。
「くっ! くううっ!」
 銀の巨体が、空中に大の字の姿勢で吊り上げられた。渾身の力を込めて両腕を引くが、鋏は空中でエリアスの二の腕をがっちりと掴み直し、そのままエリアスの顔を自分の頭部へと近づけてゆく。その口から、再び管状の舌が伸び出した。
(だ、駄目! もう、あれを食らうわけにはいかない……)
 エリアスは歯を食い縛り、両腕を捉える鋏をこじ開けようと体を揺する。
「つっ! くあああっ!」
 その時、ついに下半身に押し当てられていた”舌”が、エリアスの銀色の皮膚をぶつりと突き破った。管の先端から流れ出す毒液が、皮膚と同じように体内の組織を分解し始めた。怪獣はずんっと勢いをつけて管を突き刺し、ウルトラレディの体内にもぐりこんでゆく。エリアスは激痛に絶叫した。

VsBugZ(Gas)23

「あああああっ! ぐぶっ! ぶううううっ」
 苦痛の形に開かれたエリアスの口に、怪獣の舌が押し入ってきた。太い管がうねりながら口を押し広げ、口腔を一杯に満たす。口の中に広がる異様な感触に、エリアスは思わずきつく目を閉じた。怪獣の舌が喉に押し入ろうとする苦悶の中、エリアスは下半身を突き刺した管が膨らみながらうねり始めたのを感じた。体内に侵入した管がうねるたびに走る激痛の中、膨らみが管の先端に移動していることにウルトラレディは気づいた。毒液が管を通して送り込まれてきたのだ。

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